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藤田司法書士事務所 建物明け渡し・家賃滞納問題  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 建物明け渡し(家賃滞納・立ち退き・建物明け渡し)の各種請求に付き交渉・訴訟提起・強制執行の申立を行います。家賃の滞納から立ち退きの交渉、法的手続き(訴訟、強制執行)まで建物明け渡し手続きについてその意義、特徴、手続きの流れメリット、デメリットについてわかりやすく解説します。家賃滞納問題は任意交渉・建物明け渡し訴訟・強制執行各手続きで解決できます。家賃の未払い、滞納が継続していて立ち退いてくれない賃借人がいる建物の大家さん 無料相談にお申込ください。家賃滞納/立ち退き/建物明け渡し請求の相談所
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         建物明渡の相談事例1

 トップページ建物明け渡し事例1

         
           建物明け渡し 具体的事例に基づいて建物明渡手続きの流れ
     をわかりやすく解説します。
          
         

            Aさんの建物明け渡し請求 
           借家人(賃借人)と異なる人間が住んでいた場合

 

          以下は建物明渡の流れを説明するために司法書士の経験を交えな
          がら、わかりやすく解説しながらストーリー構成にしています。
          必ずしも全ての事例に合致するものではありません。
     多くの明渡事例の中の一つのケースとしてご理解ください。

         相談
         近所でアパートを経営しているAさんが事務所にやってきました。
         「せんせー、なんとかならんかね」
         「どうしました?」
         「うちのアパートに入ってる人が家賃の滞納が続いてて、払ってくれな
         いんですよ。」
        「わかりました。家賃を支払うように請求してみましょう。
         もし払ってくれないようであれば立ち退いてもらいますか?」
         「そうですね。実は以前も滞納が続いたこともあり、何度約束しても
         ダメなんです。
         今回、払ってくれなかったら出て行ってもらいたいんですよ。」
         「家賃や食費は生活のために必要な支出だから、支払いの優先度
         は高いはずなんです。
         その家賃の支払いが滞るのは、収入が無くなったりとか深刻な事情が
         多いでしょう。
         なので、(家賃の)回収もなかなか難しい場合も多いのです。
         なので、支払いができない場合は出来るだけ速やかに退去して頂いた
         ほうが大家さんにとって損失が少なくてすむ場合が多いです。」
         「それじゃー早速お願いしますよ」


          現状の把握
          「現在、部屋に住んでる方はその賃借人だけですか?
         (賃貸借)契約を取り交わしたのはその方ですか?」
         「それが、(賃貸借)契約はその人(Zさん)だけとしたんですが、どうも友
         人やらなにやらわかりませんが、時々複数の人間が出入りしているよう
         なんですよ」
         「契約当事者以外の人間が住んでる可能性があるんですね。」
         「そうなんです」
         「そうなるとですね。このまま家賃の(支払いがなく)滞納が継続していく
          と退去してもらうことになります。
         その際に自主的に退去していただけない場合は〔Zさんに対して〕裁判を
         起こして判決や和解調書等を取った上で強制執行により、強制的に退去
         していただくことになります。
         その場合Zさんに対しては有効に退去させることはできるのですが、例え
         ば、Zさん(から無断転貸や無断賃借権の譲渡により)の他にYさんが住
         んでいたとします。
         そのYさんに対しては強制的に明け渡しさせることは出来ません」
         「そりゃー困るねー。Zさんに出て行ってもらったと思ったら、違う人がその
         まま居続けられると(外の人に貸すことができないから)意味が無いもんね
          、こりゃーなんとかなりませんかね?」

     占有移転禁止の仮処分(保全手続き)
    「そういう場合の為に『占有移転禁止の仮処分』制度というのがあります。
    これは、現在Zさんに貸した部屋に住んでいる人(占有している人)に対して
    占有を移転することを禁止させておいて、その人に対して明け渡し訴訟をし
    ます。

    ※ 占有 とは自己のためにする意思で物を所持する行為をいいます。
      占有権 は、事実上の支配状態が保護される権利です。
          正当な権利かそうでないかにかかわらず保護されます。

    現在はZさんが住んでいるが、第3者に転貸や賃借権の譲渡をする恐れが
    ある場合はZさんに対して「占有移転禁止の仮処分」により、占有の移転(
    第3者への転貸や賃借権譲渡)を禁じておいて、Zさん相手に明け渡し訴訟
    をします。
    その訴訟で判決等を取得して明け渡しの強制執行を申し立てます。
    そうすると、仮にZさんがYさんに占有を移転しても、Yさんに対しても強制的
    に明け渡しさせることが可能になります。」
    (詳しくは「
占有移転の禁止の仮処分 」をご覧ください」
    「それを是非おねがいしますよ」
    「とりあえず、明日私が現地に行ってどんな様子か調査してきますよ」

         現地調査
         以下は現地の状況です。
         現地で調査したところ、Zさんの居室は不在の様子であった。
         隣室の住人XさんにZさんの部屋の様子を聞くと
         「Zさんは此処最近姿を見ません。Zさん以外の人間が複数出入りしてる
         ようです」という証言を得た。
         Zさんの居室の郵便受けにはZさんあての郵便物が多数放置されていた。
         そして調査時には誰も不在で、誰が占有しているのか不明であった。


          「Aさん、私が現地を調査したところ、現在、Zさんは住んでいないようです。
          その代わりに不特定多数の人間の出入りが認められますので、占有は移転
          されていると考えるのがよさそうです。
          占有移転禁止仮処分を申し立てる方向で話を進めましょう」
          「おねがいします」

          賃貸借契約の解除
          「Zさんに滞納賃料の請求をしてZさんが滞納賃料を支払い、今後も誠実に支
          払うと約束すれば、賃貸借契約を解除しなくても良いのですが、Zさんは無断
          転貸か無断の賃借権の譲渡をしている可能性が高いので、もし事実そうであ
          れば賃貸借契約を解除することができます。(民法612条2項)


          「もし、Zさんが無断転貸や無断譲渡をしていなくて、賃料を支払うという口約
           束をした場合にはどうなります?」
          「賃料不払いの場合には基本的には借主が一方的に債務(賃料支払義務)の
          不履行をしているので、民法の債権の原則で解除が出来るのですが・・・」
          「できないんですか?」
          「建物の賃貸借は通常の債権債務関係と同様に論じられないところがあります。
          それは、借家人の権利は(通常の権利に比較すると)保護される傾向があり、
          (借家人の弱い立場と生活の本拠を追い出されることは生存をも脅かされる重
          大な事項でもあることを考慮されているのだろうと思います)


          賃料不払いによっても賃貸人と賃借人との間の信頼関係が破壊するに至った
          といえない場合には解除は認められません(過去の判例)
          信頼関係を破壊するといえるかどうかについては賃料不払いの回数だけでな
          く、不払い金額,や賃借人が誠実な対応かどうか等、その他の要因も判断材料
     となります。

          通常、3ヶ月の滞納があれば、信頼関係が破壊すると判断した判例が多いで
          すが、6ヶ月程度の滞納があればよほど特殊な事情がない限りは信頼関係破
          綻と判断されるでしょう。」
          「Zさんは、いままで、6か月分の滞納があるので解除がみとめられますね。
          解除するには解除通知を送るだけでいいのですね?」
          「(催告をすることなく)いきなり解除することを無催告解除といいますが、(賃
          貸借契約書に賃料の滞納があれば無催告解除ができるとする特約がある場
          合で)諸般の事情を鑑み賃貸人賃借人当事者間の信頼関係を破壊するといえ
          ない場合には無催告解除が認められません。

         無催告で解除しても不合理と認められない事情がある場合でないと認められ
        ません(過去の判例から)」
        「(解除するには)通常はどのような手続きが必要ですか?」
        「民法で解除をするには方法が定められています。まず、相当の期間を定めて
        滞納した賃料を支払うように催告した上で、その期間内に支払わない場合に賃
        貸借契約を解除できます。」
        「相当の期間とはどのくらいですか?」
        「(過去の判例で)諸般の事情を鑑み、決められていますが、通常1週間から2週
        間くらいといえましょう。」
        「そうすると、まず、催告書をZさんに送らないといけないのですね。」
        「そうです。そして建物明渡の訴訟をする際に解除をしたこと証明しないといけな
         いので、証拠として残るように内容証明郵便でおくりましょう。
         しかしここで頭の痛い問題がでてきます。
        私も経験ありますが、債務不履行の滞納者の場合、そうした郵便をわざと受け取
        らない人が多いのです。
        何となく中身が何かわかるんでしょうか。」

        「受け取らないと証拠になりませんね。
         そうすると訴訟提起できないのでしょうか?」
        「もし内容証明郵便が受領されずに戻ってきた場合は、普通郵便等で送り、その
        事情を上申します。
        また、手渡しできるようであれば書面を渡して受領書をもらえばそれが証拠にな
        ります。」
        「その後、支払いがなければ解除通知をするのですね」
        「そういうことです。しかし、Zさんはいま、居場所が不明なんですよね。
        Zさんに部屋貸す時に保証人とりました?」
        「はい保証書があるので連絡先わかります」
        「保証人に聞いたりZさんの住民票取得して、なんとか今の居場所を調べましょ
        う」

        「しかし、解除するだけでこんなに大変になるなんて思わなかった。
        もしZさんの行方が全くわからなかったときはどうするんです?」
        「行方不明の場合にはいろいろ調べたが行方不明でしたという報告書を添付し
         て訴状を作成します。
        後で述べますが、訴状が相手方に送達されないと訴訟が始まらないのですが、
        相手が行方不明の場合は「公示送達」という手段があるのです。
        また、そのとき説明します」
    送達について詳しくは「
送達」をご覧ください。



        「せんせい、Zさん以外にも困った賃借人がいるのですが、賃料不払い以外で
        解除は出来ないのですか?」
        「できますよ。さっきいった無断譲渡無断転貸もそうだし、外に判例や民法で認
        められた解除原因はいろいろあります。
        詳しくは
賃貸借契約の解除(解除の原因、解除の方法)をご覧ください」


        家賃の滞納者が行方不明の場合は、注意しなければならない事項があるととも
        に慎重な対応が必要になります。
        詳しくは「Bさんの建物明渡請求 借家人(賃借人)が行方不明の場合」をご覧
        ください。


        即決和解
       
「それはそうとZさんは請求しても家賃を支払わないでしょうけど、Zさん以外に
        も滞納している人はいるんです。
        Vさんは今まで賃料の滞納が無かったんですが、2ヶ月の滞納がありまして、話
        をしたら、来月から必ず払うというんですよ。
        Zさんみたいにならないように約束を守らせる方法はありませんか?
        Zさんのように払わなくなったら、建物明渡まで持っていくのがすごい大変だとい
        うことがわかりました。
        もしVさんが滞納が続いた場合に簡易に手続きを進める方法はありませんかね
       ?」
       「ありますよ。Vさんとの間に即決和解を申し立てて和解をすればいいんですよ。
       」「即決和解とは何ですか?」


    「民事上の紛争について当事者間で合意できる見通しがついた場合、簡易裁
         判所に対して和解の申し立てを行い、裁判所に双方が出廷し合意内容を和解
         調書に記載することをいいます。
         和解調書は債務名義(債務名義とは強制執行によって実現されることが予定
         される請求権の存在,範囲,債権者,債務者を表示した文書のことで、強制執
         行申立てる際に強制執行ができることの根拠を表したものです。)
         となるので、相手が約束を守らない場合は、訴訟手続きを経ることなく、強制執
         行が可能となります。」
         「それはいいですね。Zさんのようになりそうな人はあらかじめ即決和解をすれ
         ばいいんですね。
          しかし、約束を守らせるには外に公正証書とかもありますよね。
          そっちのほうが、裁判所にいかなくてもすむし、合理的じゃないでしょうか?」

          「確かに公正証書も債務名義になり、訴訟を経ないで強制執行が可能となり
          ます。
          しかし、公正証書は公証人が、当事者の意見を聞きながら作成するもので、
          効力が限定され、金銭の一定の額の支払いを目的とする請求(金銭その他
          の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求」)について
          しか強制執行は出来ません。

          よって、賃料を支払わない場合に支払いを約束させると同時に賃料を支払
          わない場合は借家から出て行ってもらう(建物を明け渡す)ことの強制執行
          (建物明渡)をしてもらうには即決和解によるしかないのです。」
           詳しくは「Aさんの賃料請求 相手方が支払い約束した場合」や
     「
即決和解 」をご覧ください。

          解除通知の発送
     その後の調査で、Zさんが所在する場所の確認がとれ、Z宛に解除通知書を
          内容証明で発送しました。
          発送した内容証明郵便が、留置期間経過で返送されてきました。
          「先生その後どうかね?」
          「契約解除の通知が本人が受領しないため、留置期間経過で返送されてき
          ました。」
          「その場合は契約解除ができないということかね?」
          「法律上の意思表示(解除の通知)が相手に届かないので、法律上の効果が
          発生しません。(民法意思表示の到達主義)
          なので、契約解除はできなかったということになります.
          しかし、内容証明は相手方が受領してくれない限り、届きませんが、相手に
          契約解除の意思表示を届ければ法律上の効果が発生しますので、普通郵便
          か特定記録郵便(相手方に届けたことを郵便局が証明するが、受領印はもら
          わない)で発送して訴状にはその旨を記載する方法があります。」

          「それでだいじょうぶかい?」
          「相手方が法廷に出てきて、契約解除の書面は受け取っていないと主張すれ
          ば、内容証明郵便の配達証明がないので、証拠が無いこと(つまり、言った
          言わないの水掛け論になる)になりますが、相手が出廷してくればその場で
          解除を伝えれば良いし、また、相手の居所が分からない場合でも(行方不
          明)解除通知を発送することすら出来ない場合でも訴状に契約解除の旨を
          記載すれば解除通知を相手方に伝えたと同じ効果が発生します。(民事訴訟
          法115条、詳しくは「
訴訟、相手が行方不明者の場合 」をご覧ください。)

    訴訟提起の準備
    「
それでは、訴訟提起の手続きをします」
    「司法書士の場合は、140万円以下の請求であれば、簡易裁判所で代理
         して(訴訟を)やってくれるんだよね。
         ところで、今回の場合は、いくらになるの?」
        「おっしゃるとおり、司法書士は、簡易裁判所での代理権を有しています。
        (司法書士法3条6項)そして140万円までの請求なら簡易裁判所(が第1審
         の裁判権がある)(裁判所法33条)、
        140万円を超える場合は地方裁判所の管轄になると法律できまっています
        (事物管轄 裁判所法24条1項)
        (ただし、140万円以下の金額でも不動産に関する訴訟は地方裁判所も管轄
         権を有します。)


         訴額算定
    そして 建物明渡訴訟の訴訟物訴訟物とは訴訟の目的物や訴訟の対象で、
    民事上で争う対象となる私法上の権利関係等)が明け渡しを求める建物であ
    り、その建物の固定資産税評価額の1/2が請求額となります。


        今回、明渡を求める部屋の床面積が建物全体の1/5となるので、さらに1/5を
    かけます。
        Aさんの建物固定資産評価額は1000万円なのでそうすると本件は140万円以
        下になるので(簡易裁判所に第1審の裁判権があるので)私が代理人となれま
        す。」
        「それじゃたのむよ」

        「話を少し戻してZさんの解除の件ですが、まずZさんはZさん名義でAさんから
        借りた部屋を占有しているのか(賃借人として借家に住んでいるのか)
        そしてZさんは滞納家賃を支払う意思があるのか
        また占有しているのなら自主的に建物を明け渡すのかどうなのか、
        Zさんの意思を確認したいので、私が連絡してみましょう。
        契約解除の件もそのときに伝えます」

        処分禁止の仮処分
       
それから2,3日後、「せんせー、どうだった?」
        「Zさんになんとか連絡がつきました。
        まずZさんは現在は親戚宅にやっかいになっていて、Aさんとの賃貸借契約
        で賃借した部屋には住んでいない。
         つまり占有がないということがわかりました。
        そして未納賃料については現在無職で滞納家賃の支払いはできない。
        今現在ZさんがAさんから借りていた部屋にはZさんの知人のYさんが占有し
        ていることがわかりました。


         Zさんに対しては賃貸借契約を解除する旨を通知して、書面にサインももら
         いました。
         Yさんが現在建物を占有してますが、占有が代わる可能性があるので、占
         有移転禁止の仮処分を申し立てましょう。」

        
        
仮処分の執行
    
その後、執行官が現地に臨場し、仮処分の執行を行いました。
    その際に建物を占有している人間がYさんであることが確認されました。
    「これでZさん以外の人間が誰に占有を移転しても安心です。」
    「よかったよかった この次の段階は何ですか?」


        法的手続きによらなければならない理由(自力救済の禁止)
       
「Yさんに対して建物明渡の請求の訴訟を提起します。」
        「しかしなんだね、そのYさんていうのは、わしゃ見たこともないし、(賃貸借
         )契約したこともない。
         いつのまにか勝手にわしのアパートに入り込んでる。そんな人にも訴訟手
        続きを経ないと出ていってもらえないのかね?」
       「確かに仰るとおり、Yさんは不法占有者です。建物の所有者が「出て行け」
        といったら出て行かなければなりません。
        しかし、出て行かない場合にAさんがムリヤリ退去させることはできません。
       (自力救済の禁止といいます)

        例えば、盗まれた自分の所有物が見つかった場合に盗んだ者の倉庫にあ
        るということが分かった場合にその盗人の倉庫にしのびこんで自分の物を
        取り返した場合でも、窃盗罪になる可能性があります。
        [窃盗罪は占有を保護する法律なので、{保護法益が占有(占有とは自己の
    為に所持すること)であるとするのは判例、多数学説による}
    盗人が不法に占有していたとしても実力で取り返す行為に対して窃盗罪に
         該当すると考えられています]
         大家さんが賃料滞納の借家人の部屋の鍵を勝手に交換した場合は、占有
         権(借家を占有する権利)の侵害を認める判例は多くあります。

         また、今回、AさんがYさんをムリヤリ追い出した場合、不動産侵奪財
         居侵入罪
になる可能性もあります。
         最近の判例でも勝手に鍵の交換をしたり荷物を勝手に搬出した事例で、居
         住権の侵害としての不法行為を認め、損害賠償を認める民事訴訟での判
         例が多く出ています。」

         「そうなのか、知らなかった。うっかりそんなことをするととんでもないことに
         なるんだねー」
         「そうなんです。だから、段階を踏んで慎重に法的手続きを進めていかなけ
         ればならないのです」
         「それじゃ、訴訟提起したらまた教えてや」

    訴訟提起(送達)
    
Yさんに対して建物明渡請求訴訟を提起しました。
    「先生、どうだった?」
    「Yさんに対して訴訟提起しましたが、訴状が送達されずに返ってきました。
    Yさんが訴状の郵便を受領しないで(裁判所に)返って来たので、(裁判所に
    対して)調査報告書と付郵便の送達の申請を提出しました。」
    「え、なになになんだって?」
    「説明します。裁判では、相手方に訴状が送達されて、相手が訴訟提起され
    たことと請求の内容を理解して、手続きが始まるとお考えください。
    相手方が、訴訟を起こされたことを知らない間に欠席裁判で判決が確定して
    しまうと、強制力を伴った執行がされて、自分の権利や財産が侵害され、場
    合によっては取り返しの付かないことになります。
    なので、相手が少なくとも訴状を受領できる態勢を整えてからでないと簡単
    に始まりません」

         「すると、今回は相手のところに訴状を郵便配達員が持っていったところ、相
         手が受領しなかったんだね?」
         「詳しく言うと、相手が不在で、不在通知を置いてきたところ、相手から郵便
          局に何の連絡も無く留置期間が経過して差出人の裁判所に帰ってきたわ
          けです。
         個人を相手にした訴訟や、幽霊会社(実態のない法人)を相手にした場合
         よくあることです。

         また、相手が在宅していたときに正当な理由無く受領を拒んだ場合は、そ
         のまま郵便物(訴状)を置いてくることができます(差置送達 民事訴訟法
         106条2項)が不在の場合は置いてくることはできません。
         通常送達されなかった場合は、(相手方の)休日や夜間の送達、就業先が
         判れば就業先に送達することになりますが、就業先も判らない場合は付郵
         便送達といって、書留郵便を発送したことだけで、送達されたことになる送
         達方法があります。(民事訴訟法107条)

         調査報告書
    そして送達は段階を踏んでいかなければならないため、最初から付郵便送
         達を申し立てることはできません。
         今回は、相手の送達についての調査報告書により、就業先や時間指定、補
         充送達(使用人や同居人に対して送達する方法 民事訴訟法106条1項)が
         出来ない旨を記載して付郵便の送達の申立をしました。
         (添付書類として通常相手の戸籍謄本又は住民票が必要です)
         詳しくは「
送達」をご覧ください。」

         「そうすると相手が(裁判に)出てこなくても大丈夫なのかい?」
         「そういうことです。この申立が通り、相手が書留郵便も受け取らない場合は、
         事実上欠席裁判で訴状に記載どおりの判決が出ることになる可能性が高い
         です。(訴訟内容によっては必ずしもそのようにならないことに注意)」


         判決
    
「調査報告書も作成しないといけないんだ?」
         「以前、行った現地調査で近隣住民から聞いた情報、Zさんから聞いた情報に
         より調査報告書を作りました」
    その後、「判決がでました。一応Yさんに再度退去するようにいいましょう。
    任意に出て行ってくれれば、(強制執行の)費用や手続き、時間はかからない
    ので一番良いのです。」

         その後、Yさんと連絡をとることができませんでした。
         Aさんが慌ててやってきました。
         「どうしました?」
         「Yがいるはずの部屋の隣の人に聞いたんだが、どうもYはいなくて、Yとは
    別人が住んでるらしい。」
    「うーん、これは部屋を追い出されないための意図的な占有の移転の可能
         性もありますね。ですが、安心してください大丈夫です」
         「しかし、この前の判決はYに対する明け渡しだから別人が住んでたらダメ
         (強制執行が出来ない)なんだよね?」


         「占有移転禁止の仮処分の執行がされてるので大丈夫ですよ。
         この仮処分の執行があれば、Yが誰に占有移転しようがY名義の判決で
         強制執行ができます。」
         「あーそうだった。以前先生に説明してもらったね。そういえば」
         「それでは強制執行の申立をしましょう」


         強制執行
        
強制執行の詳しい解説は「
強制執行」をご覧ください。
        (強制執行の手続きの流れから必要な条件、等詳しい解説をしています)
         強制執行の申立を裁判所にしました。


        催告
        執行官と面接し、明渡の催告の日時の調整、執行補助者(建物内の動産
        を移動させるための搬出業者)との調整、が終わり指定日を待つだけとな
        りました。
        明渡の催告の予定日にAさんのアパートに向かいました。
        執行官が対象の部屋のドアをたたいても反応が無く、(居室内に)誰もい
        ないようです。

         Aさんの合鍵で開けようとしたところ、鍵が交換されているようで開きませ
         ん。
         Aさんに依頼して用意してもらった鍵の業者が鍵を解錠しました。
         執行官が部屋に入り、Yの占有を確認しました。
         (占有の認定がされないと執行不能になる)
         執行補助者は搬出する荷物の量や、搬出のための車両の駐車位置(等
         による作業員の作業状況を見積もる)を確認し搬出費用の見積もりを出
          します。
         執行官は公示書を貼付して明渡の催告を終了しました。

         司法書士の経験
         以上の催告日の流れは、過去立会いした司法書士の経験によるもので
     すが、明渡の催告が終わり、強制執行(実際に執行することを断行という)
        にまでいくことは少ないです。
        (多くても5割)明渡の催告が終わってから、自主的に退去していく人が多い
         のはやはり強制的に家財道具を搬出されたり、ムリヤリ追い出されること
         を欲しないからでしょう。

         司法書士が不動産会社(競売不動産を専門に落札する会社)の社員として
    立会った経験からでは、断行日まで(最後まで)占有する人は占有屋、暴力
         団等の反社会勢力が多い傾向がありましたが、占有家屋に強いこだわりを
         持つ人や強制執行についての理解が得られない人
        (強制的に退去させられるということがどうしても信じられない人)、
        

         今から考えると特殊なケースの場合が多かったのですが、これは、不動産
         会社が占有者に引越し資金を提供する等、通常の建物明渡とは異なる性
         質があったからでしょう
         (以上のデータや傾向は司法書士の経験による話なので、一般的な事例に
         必ずしも合致しない場合もあります)

         断行(強制執行)
        
断行当日は、執行補助者が作業員を伴い催告日よりも多数の人員がきま
         した。
         執行官が占有者の不在を確認した後、解錠させ、執行補助者の作業員が
         物品搬出のために作業を介しました。
         てきぱきと搬出作業を行い数時間で完了。
        

     その後の処置事項
         
搬出された動産は一定期間倉庫等で保管された後に売却を実施します。
          実際には買ってくれる人はいないので、債権者(大家さん)が買い取るこ
          とが多いです
          (買わないと保管費用がいつまでも発生するので、その費用のほうが購入
           費用よりもはるかに大きいのです)
          「せんせいお世話になりました。これでほっとしました。」
          「しかし、ここまで結構な費用がかかりましたね」
          「裁判費用、執行費用、そして執行補助者に払う搬出費用、他多くの費用
          を払ってしかもその間家賃は入らず、ホントにふんだりけったりだよ」

          「しかし、今回のケースでは、Zさんの賃料の滞納があった時点で早めに手
          を打ったので、損失は拡大しませんでした。
          私の知っている事例では2年以上も賃料の滞納があり建物を明け渡しさせ
          るまで1年以上もかかった例もありました。
          賃料の支払いが望めそうにない場合は的確かつ迅速な決断が必要ですね」
        

          建物明渡のために大家さん(債権者)が支払った各種費用については、債
          務者に支払い義務があるので、債務者に請求するべきものですが、債務
          者は支払い能力が無いのがほとんどなので、回収は現実的には困難なの
          が実情です。



           
           家賃の未納(滞納・延滞)が続いている。
    家賃の支払いが無いまま、立ち退いてくれない。    

          そのようなことでお困りの場合、法的手続きを含めた「建物明け渡し
    請求」手続き(任意交渉・建物明け渡し訴訟提起・建物明渡の強制
    執行の各種手続き)により解決できることがほとんどです。    

          金融機関及び不動産会社に過去在籍し、賃貸建物の賃料請求・建
    物明け渡し請求手続き(任意交渉から建物明け渡し訴訟提起、建物
    明け渡し強制執行の法的手続きに至るまで各種手続き)の
現場での
    実務経験がある司法書士が対応
いたします。
    詳しくは「
司法書士の紹介 」をご覧ください
    
    安心しておまかせください。

        
 滞納家賃請求・建物明け渡し請求手続のご依頼の流れをご覧ください。

    具体事例


    建物明渡の流れを説明するために司法書士の経験を交えながら、
        わかりやすく解説しながらストーリー構成にしています。
    下記の事例をクリックしてください。

    
1、 Aさんの建物明け渡し請求 
      (借家人と異なる人がいつの間にか住んでいた場合)


      2、 Bさんの建物明け渡し請求
 
     (借家人が行方不明になってしまった場合)


      3、 
Aさんの滞納賃料請求
        (借家人と支払いの約束をする場合)


   

          建物明け渡し問題Q&A 

     建物明け渡し問題(家賃滞納/立ち退きについての諸問題)
     についてよくある質問や、知りたいことや疑問点についてわかりやすく
     解説しています。
     
建物明け渡し問題Q&A をご覧ください。

  

     

     

     


     

     

          藤田司法書士事務所

             司法書士 藤田博巳

             

        

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