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藤田司法書士事務所 建物明け渡し・家賃滞納問題  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 建物明け渡し(家賃滞納・立ち退き・建物明け渡し)の各種請求に付き交渉・訴訟提起・強制執行の申立を行います。家賃の滞納から立ち退きの交渉、法的手続き(訴訟、強制執行)まで建物明け渡し手続きについてその意義、特徴、手続きの流れメリット、デメリットについてわかりやすく解説します。家賃滞納問題は任意交渉・建物明け渡し訴訟・強制執行各手続きで解決できます。家賃の未払い、滞納が継続していて立ち退いてくれない賃借人がいる建物の大家さん 無料相談にお申込ください。家賃滞納/立ち退き/建物明け渡し請求の相談所
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建物明け渡しQ&A9

 無償の貸借(使用貸借)で
明け渡しを求めるには?

トップページ>建物明け渡しQ&A >Q&A9 

  

   建物明渡の疑問点・不明点についてわかりやすく解説します

    無償の貸借(使用貸借)の建物明け渡し
    使用貸借と賃貸借の違い 
      借主が建物を時効取得できる場合とは

  

        Q9    使用貸借の場合の立ち退き・明け渡し

                   私の母がなくなって、母所有だった実家の建物を私が
      相続しました。
      その建物には、母の妹が住んでいます。
      母から聞いた話によると、母の妹が離婚した時に住む
      ところがなかっために、期間も定めず、母の住居してい
      る建物(建物の一部である部屋)に住まわせていたよう
      です。
      勿論、賃料もとっていないし、契約書も作っていません。

      母が亡くなった後に、母の妹に(実家の建物から)出て行
      ってもらうよう頼んだのですが、「私はこの家の固定資産
      税を長年払っている。また、姉(亡くなった私の母)から『
      いつまでも住んで良い』といわれていた」と主張して退去
      する意思がないことを明確にしています。
      しかし私が母から聞いていた話では母の妹が新しい住居
      を探して入居するまでの間だけ同居することに同意したと
      いうことで、話が違います。

      固定資産税を払っているということは、取得時効※1が成
      立するのでしょうか?
      また、母の好意で住まわせていただけで、なんらかの契約
      等は存在しないと認識しているのですが、この場合、(母の
      妹が居住することが合法になるような)法的な契約が成立
      しているのでしょうか?
     
      母の妹について私の実家の建物から立ち退いてもらいたい
      のですが・・・

       ※1
      取得時効とは他人の物または権利を一定期間継続して占
      有(自己の為にする意思をもって物を所持すること)または
      準占有(自己の為にする意思をもって権利を行使すること)
      する者が他人の物や権利について所有権を取得する制度
      です(民法162条、163条)

          


           A9

      賃料を払う(又は受領する)約束をせずに(無償で)物を貸借するこ
      とを「使用貸借」といいます。
      一方、有償で(賃料の支払・受領の約束をして)貸借することを「賃
      貸借」といいます。

      「建物」や「建物所有の目的で土地」を賃貸借する場合には借主の
      権利が借地借家法で厚く保護されています。
      (一時使用目的で貸借する建物を除く)
      しかし、建物や土地を無償で貸借する場合には民法の「使用貸借」
      の定め(民法593条〜600条)が適用され、賃貸借ほどには借主
      の権利は保護されません。

      それでは、建物を使用貸借で貸している場合に退去してもらうにはど
      のような条件下で可能となるのでしょうか?

      
      使用貸借の期間を定めていたとき

      使用貸借について当事者が返還(退去)する時期を定めていた場合
      は、その時期が来たら返還請求ができます。
      借主は返還しなければなりません。(民法597条1項)

      賃貸借の場合の返還(退去)請求する場合の制約

      賃貸借の場合は賃貸借期間が終了しても、貸主(賃貸人)が更新を
       しない旨の通知をしない限り、自動的に契約は更新されます。
      (借地借家法26条1項)

      また、貸主が更新をしない旨の通知をした場合でも、正当事由(正
      当な事情や理由)がないと認められません。(借地借家法28条)

      また、賃貸人からの(賃貸借契約の)解約の申し入れについても正
      当な事由が必要となります。(借地借家法28条)

      正当な事由かどうかは建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を
      必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物
      の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡し
      の条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して
      財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮
      して認められますが(借地借家法28条)裁判では個別の事情に応じ
      て判断されています。

      賃貸借契約の解除や終了の事由については「 賃貸借契約の解除
      をご覧ください。

      使用貸借の場合は、上記の賃貸借の場合の制約はありません。


      使用貸借の期間を定めていない場合

      この場合は目的を定めていたかどうかにより以下のように分類さ
      れます。

       使用貸借の目的物に対して目的に従った使用・収益を契約で定
      めていた場合

      借主は目的に従った使用収益が終了した時に返還をしなければ
      なりません。(民法597条2項)

      但し、使用収益を終わる前であっても使用及び収益をするのに足
      りる期間を経過したときは、賃貸人(貸主)は直ちに返還請求(立
      ち退き請求)をすることができます。(民法597条2項)

       使用貸借の目的物に対して目的に従った使用・収益を契約で定
      めていなかった場合

      当事者が「返還の時期」「使用及び収益の目的」を定めていなかっ
      たときは貸主はいつでも返還請求をすることができます
      (民法597条3項)

       使用貸借契約で目的を定めていた場合、「使用・収益を終わる(す
      るのに足りる期間)時期」とは具体的にはどのような場合でしょう。

      判例では、個別の状況に応じて終了の時期が判断されています。
      目的を明確に定めていなかった場合でも、状況によりある目的を定
      めたと判断される場合もあります。

      判例では「内縁関係解消に関する紛争の解決時」や「借主が独立し
      て生活ができるようになるまで」「新たな転居先が見つかるまで」等
      多種多様です。

      例えば、当事者間で「事情により現住居を退去したので、新しい転
      居先を見つけるまで貸借する」と決めた場合は、借主が新しい住居
      に入居ができるまでとなるし、「無職になって旧住居を追い出された
      ので同居をした。収入を得られるようになれば出て行く」としたら新
      しい就業先に就職できるまでとなります。

      目的が「居住」の場合の使用貸借終了時期

      それでは下記の場合はどうなるのでしょうか?

      使用貸借では借主の死亡により使用貸借は終了するとなっている
      ので、(民法599条)借主が死んだ場合、借主の相続人がいても
      退去を求めることができます。
      尚、貸主の死亡の場合は使用貸借は終了となりません。

      そうすると目的が「居住」の場合は借主が死ぬまで、もしくは「建物
      が居住に適さなくなるまで(=荒廃、滅失するまで)」となるのでしょ
      うか?

      無償の契約で貸主にとって一方的に重い負担を負わせるのは貸主
      に酷です。
      よって、判例でも目的が「居住」の場合ある一定の期間を定めたもの
      が多いですが、状況に応じて長短があり、一般的に「概ね何年」とは
      いえません。

      使用貸借契約の成立

      質問の場合ですが、質問者のお母さんとその妹との間で「妹が母の
      建物に同居することを認めた」という事実があるのであれば、当事者
      間で書面で契約書を取り交わしていなくても、法律上は「使用貸借」
      の契約をしたことになります。
      よって、母の妹は使用貸借契約に基づいて合法的に当該建物を占
      有しているということになります。

      使用貸借の終了時期

      そして、質問者の母から聞いた話「新しい住居を探して入居するまで
      の間」が事実であれば、母の妹(借主)が新しい転居先に入居するこ
      とができる時期が終了の時期となります。

      母の妹の主張する「いつまでも住んで良い」という話が事実であると
      すると、目的は居住であり、(妹が自分の意思で退去するまで)半永
      久的な期間を定めたとも考えることも可能であり、また特に返還の時
      期を定めなかったという解釈もされるかもしれません。

      いずれにしても双方で争いがある場合は、使用貸借期間の終了時期
      については、訴訟手続等で解決せざるをえません。

      訴訟で争うことになった場合は自己の主張が正しいことを認めてもら
      うためには「主張することが事実であることの証明(証拠の提出)」を
      することが必要となります。

      借主が固定資産税を支払っていた場合の影響

       建物の使用貸借の借主が固定資産税を支払っていた場合、取得時
      効により建物の所有権を取得するか
についてですが、民法では「所
      有の意思」を持って占有することが取得時効の必要な条件であると
      しています。(民法162条)
      一般的に借主は所有の意思を持っていないと判断されるので、固定
      資産税を払っていてもそのことだけをもって時効取得することにはな
      りません。

      また、借主が建物の固定資産税を支払っていることが所有者のため
      に経済的利益を発生させているといえることから、有償の賃貸借契
      約と実質的に同一とみなされるという考えもあるかもしれません。
      つまり固定資産税が賃料相当額に該当するとしてこの契約は賃貸借
      契約だと主張されることはないのでしょうか?


       固定資産税を借主が負担することによる契約の性質への影響に
      ついての判決

   
      この件に関しては同様の事例についての判例があります。
      使用貸借の借主が固定資産税を負担していた事例において
      「借主が公租公課の支払いを負担していたとしても、それが使用収
      益に対する対価の意味をもつものと認めるに足りる 特別の事情の
      ない限り〜中略〜使用貸借と認める妨げとなるものではない」
      (最高裁昭和41年10月27日判決)として 使用貸借の借主が固定資
      産税を負担していても、特別の事情がない限り、使用貸借であると
      判示しています。
      







     建物明け渡し・家賃滞納についての具体事例


    建物明渡の流れを説明するために司法書士の経験を交えながら、
        わかりやすく解説しながらストーリー構成にしています。
    下記の事例をクリックしてください。

    
1、Aさんの建物明け渡し請求 
     (借家人と異なる人がいつの間にか住んでいた場合)


   2、 Bさんの建物明け渡し請求
 
   (借家人が行方不明になってしまった場合)


   3、
Aさんの滞納賃料請求
     (借家人と支払いの約束をする場合)


 

 


 

 

      藤田司法書士事務所

         司法書士 藤田博巳

         

    

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